どの企業においても、新規事業の立ち上げ検討は行われますが、意外とその市場調査というものはハードルが高いもの。一方で、大手のコンサルティングファームなどに依頼すると、その費用はかなり高額になってしまい、どうしても気軽に発注できるものではありません。(そもそも新規事業で儲かるかわからない中、予算は低く抑えたいですよね。)

上記の背景を受けて、今回は元大手ファームコンサルが解説する「新規事業調査に係る市場調査の具体的な手法」を解説します。ただし、新規事業とは?なんていう概念などの解説は行わず、明確に手法やリサーチリソースなど、使える情報源としてのまとめを記述します。
もしも社内リソースだけで(簡単な)新規事業調査を検討されている方は、本記事の内容をご参考いただければ幸いです。

また、本記事に係る市場調査は、あくまで「市場概況」の調査であり、想定している新規事業の「事業可能性」ではないので、アンケート調査などは省いています。

新規事業調査における市場調査で精査している内容

結論、事業やプロジェクトによるというのが正直なところではありますが、大まかに分けると以下のような内容になるかと思います。

  • 市場規模(全体、地域別、セグメント別)、市場規模予測、市場成長率
  • 業界構造(サプライチェーン)、業界慣習、ビジネスモデル、企業シェア、法規制
  • 主要企業・競合企業の業績・動向、顧客ニーズ
  • 技術動向、成功事例、失敗事例 など

このうち、何が必要で必要でないかは検証したい内容にて変わってくるので、担当者にてご判断をいただくことになると思います。ただ、重要なのはこの項目自体というよりかはその中身、つまり、幅(調査項目)以上に、深さ(どのような視点で見るか)が重要になってくるかと思います。

この深さ、はいきなりはわからないと思うので、できる限り最短距離で調査を完了できるような手法・ソースを今回は公開したいと思います。

デスクトップリサーチ①:大手ファーム・総合研究所の調査レポート

大手ファームのコンサルタントも、実は大手ファーム(自社も含む)や総合研究所の調査レポートを参照しています。結局自分で調べるよりも早く概略を知ることができたり、報告資料には必ず出典が記載されているのでその一次ソースへとアクセスがしやすくなります。

この内容をそのまま報告書に載せることはしないものの、少しお化粧した形で掲載することは多くあります。自身が詳しくない市場を調査する場合など、一度市場概略が知りたい場合にはこのような大手コンサルファーム・総合研究所の調査レポートは非常に参考になるかと思います。

ソースの在処:大手コンサルファーム・総合研究所の調査サポートはどこにあるか。おすすめなど。

では、大手コンサルファーム・総合研究所の調査サポートはどこにあるか、というと、とりあえずはGoogle検索するのが一番早くはあります。ただし、ここで注意が必要なのは、有料のレポートや広告などで、ファームや総合研究所のレポートが埋もれてしまいますので、例えば、チョコレート市場であれば、チョコレート 市場調査 ファーム・総合研究所名で検索すると、良い結果が出てくるかと思います。例えば以下のようなファームや総合研究所を検索キーワードに含めると、求めているような情報が出てくるかと思います。(※ファームや総合研究所によって得意分野が異なり、出しているレポートも異なります。)

  • マッキンゼー
  • ボストンコンサルティング
  • ATカーニー
  • デロイト
  • PwC
  • EY
  • アクセンチュア
  • NRI
  • みずほ(情報)総研
みずほリサーチ&テクノロジーズトップページ画像

出典:みずほリサーチ&テクノロジーズ みずほ情報総研レポート

ですので、知りたい市場の名前と、上記のいずれかのファーム・総合研究所名を入力して検索すれば全体感を示すレポートは出てくるかと思います。

デスクトップリサーチ②:経産省・環境省など国が発行しているレポート

実はコンサルタントは国が発行しているレポートを参照することはよくあります。この理由としてはコンサルタントはファクトから示唆を生み出す基本理念があるため、1次情報としては間違いなく正しい情報を取得する必要があり国が発表しているレポートであればその情報は正しいであろうという前提のもと国のレポートが活用されます。
ですので大手ファームのコンサルタントはよく経産省や環境省などの国が出しているレポートをよく見ています。

経済産業省 審議会・研究会(報告書一覧)トップページ画像

出典:経済産業省

またこのレポートは大手ファームや総合研究所が執筆したレポートであることも多く、実はまさに欲しい情報があらかじめ揃っているような状況でもあります。

ソースの在処:国が発行しているレポートはどこにあるか。おすすめなど。

それでは国が発行しているレポートを探すにはどのようにするのがよろしいでしょうか。というとこれも Google 検索するのが一番簡単かと思います。例えば電力市場 経産省などと探すとかなりのレポートが挙がってきます。

国が発行しているレポートは分科会などかなり複雑ではあるので、網羅的に探すのは難しくあるので、前述のファームや総合研究所のレポートからあたりをつけるのもありかと思います。

デスクトップリサーチ③:PR Timesから検索する

調査する内容によっても異なりますが PR タイムズなども一次調査としては十分に活用することが可能です。また対象の企業のプレスリリースはもちろん、対象市場・業界を分析している調査会社などのレポートも一緒に検索することができるため、その内容も十分に参考になるかと思います。

PR TIMESのトップページ画像

出典:PR TIMES

デスクトップリサーチ④:対象企業のIR情報から読み解く

進出予定の新規事業業界のおけるベンチマーク企業があれば、そのIR情報から市場や情報を読み解くことも可能でしょう。大体中期経営計画などや株主総会の経営報告資料、有価証券報告書などが掲載されているかと思うので、そこから市場やベンチマーク企業の立ち位置などを読み解くことが可能です。

ロードマップを打ち出している企業も多く、市場全体の動向などを見るには十分かと思います。

デスクトップリサーチ⑤:業界団体の情報・レポート

これもGoogle検索で出てくることも多いのですが、業界団体の情報も非常に有益な情報源となります。厳密には、国の機関ではないものの、ほぼパブリックに近い団体としての業界団体の情報ソースは活用できる場合が多くあります。

JAMAの公式サイトトップページ画像

出典:JAMAの公式サイト

トラック市場規模、などで調べると、一般社団法人 日本自動車工業会のレポートが出てきます。経産省や環境省などとは異なりますが、このような団体のレポートを活用することも多くございます。

デスクトップリサーチ⑥:業界史・専門誌・モックなど

まぁ正確にはデスクトップ、ではないのですが、本も非常に有益な情報源になります。コンサルティングファームへの依頼の一つとして多いのは、2050年の絵姿策定などの将来予測系のプロジェクトです。未来のことは誰にもわからないですが、大学教授や研究者・専門家の皆様が書籍にまとめてくれていることが多くありますので、Amazonなどで探されるのも一手かと思います。

Amazon エネルギー検索画像

出典:Amazon

Amazon エネルギー検索画像(2)

出典:Amazon

例えば、とある業界の将来像に感する書籍を探したい際には、

  • ビジョン
  • 絵姿
  • 2050年
  • 将来図

などを、業界名とともにAmazonで検索すると何かしらはヒットするかと思います。

とはいえ、中身の精査などを考えると書店で探した方が早いかと思いますので、2~3件程度大きめな紀伊國屋やマルゼンなどに足を運ぶのがよろしいかと思います。

デスクトップリサーチ⑦:業界史・専門誌(統計情報)など

実は、統計系の書籍も大きめの書店ですと置かれていたりします。経産省や環境省などが公開してくれている資料を使えば無料ではあるのですが、仮に見つけられない場合にはこのような書籍を探してみるのも一手かと思います。

国や業界団体が公開しているレポートは格納場所を探すのが難しい場合も多いので、書店であたりをつけて、そのタイトルなどで探すと無料のウェブレポートも出てくるかもしれません。

デスクトップリサーチは、欲しい内容によって調査手法を分けること

以上が新規事業調査に係る市場調査の手法になります。もちろん一概にこれだけとは言えませんし、これ以外の手法を用いることもあります。ただ、一次的に調査をするに当たっては、この内容にて十分事足りると思いますし、より詳細に調査するに当たっても、調査の観点を変えて、同様のソースにて調査をすることもできるかと思います。

特に、新規事業については、既存事業とは全く異なる業界の調査を実施することもあり、手探りの中なんとかその糸口を探すもの。その際に最も効率的に探すにはこれらの手法・ソースを活用するのが非常に良いのではないかと考えています。

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