今日はフリーコンサル案件における「戦略案件」とはどのようなものかについて解説します。具体的な案件内容を踏まえながら、報酬や稼働率、プロジェクト体制などの実態に触れるとともに、このような戦略案件を獲得できるコンサルタントの経験や評価されるポイントについても詳しくご紹介します。
フリーコンサル戦略案件とは?

まず、「フリーコンサル戦略案件」がどういったものかを明確にしておきましょう。
戦略案件とは、企業の中期的な意思決定に関わる業務支援を行うプロジェクトであり、具体的には以下のようなテーマが該当します。
- 新規事業立ち上げ、市場参入戦略(いわゆるGo-to-Market戦略)
- PMI(M&A後の統合)戦略の立案と実行支援
- 事業ポートフォリオの再構築
- DX戦略の策定・実行支援
こうした案件は、経営陣とのコミュニケーションが求められることが多く、資料のクオリティだけでなく、ディスカッションのレベルの高さも重要となります。
戦略案件のクライアント層
戦略案件のクライアントは、いわゆるスタートアップやベンチャーよりも、プライム上場企業などの大企業が中心です。企業規模が大きくなればなるほど、戦略の重要性は増し、支援のニーズも高まります。
上場企業であれば、IR発表やアニュアルレポートなど外部向けの発信も伴うため、フリーコンサルタントが作成した資料が対外的に活用されることもあります。これは戦略コンサルタントにとって大きなやりがいの一つと言えるでしょう。
戦略案件に求められるスキル・経験

戦略案件を任されるには、相応の経験とスキルが必要です。特に以下のような要素が重視されます。
コンサルティングファーム出身であることの優位性
戦略系コンサルティングファーム出身者(例:BCG、マッキンゼー、Roland Bergerなど)、あるいは総合系ファームのストラテジーユニット出身者は、戦略案件で非常に重宝されます。
企業側からの募集要項にも、「大手コンサルファーム出身者で戦略案件の経験があること」と明記されていることが多くあります。
必要とされる具体的なスキル
- 戦略系プロジェクトの経験
- 市場分析、競合分析の実務経験
- 財務モデリングの実装力
- 業界知識・事業理解の深さ
- 経営層との高度なコミュニケーションスキル
戦略案件では、フレームワークの活用はもちろん、幅広い視点で事業を捉える力が問われます。
戦略案件の報酬・稼働率・体制

フリーコンサルとしての戦略案件は、以下のような条件が一般的です。
- 稼働率:50%以上、100%未満(週3〜4日想定)
- 報酬単価:月150万円以上が多数(スキル・経験により変動)
- 体制:クライアントの社内チーム or コンサルファームのチームに合流する形
また、案件によってはさらに詳細な条件が求められることもあります。たとえば
- 中期経営計画策定案件 → 過去に複数の中期経営計画を支援した経験必須
- PMI案件 → 実際にPMIフェーズを複数回経験していることが前提
稀に出社が必要になるケースもあります。たとえば複数のステークホルダーへのインタビューを伴う中期経営計画案件では、現場での対話が求められる場面もあるため、フルリモートでの対応が難しいこともあります。
案件を獲得する方法

では、こうした高難度かつ高報酬の戦略案件は、どのように獲得するのでしょうか。
方法1:フリーコンサルエージェントの活用
まず主なルートとしては、フリーコンサル向けのエージェントを活用することが挙げられます。ただし、どのエージェントでも戦略案件を扱っているわけではありません。特に戦略案件に強みを持つエージェントかどうかを見極めることが重要です。
方法2:自力でのネットワーキング・紹介
自らの人脈や、過去のクライアントからのリファラルによる案件獲得も有力な手段です。過去に戦略案件を成功させた実績があれば、継続的な受注にもつながりやすくなります。
戦略系フリーコンサルの動向と年齢層

フリーの戦略コンサルタントは、年々増加傾向にあります。独立してコンサル活動をしつつ、並行して起業や新規事業に取り組む人も多く見られます。
たとえば、週の半分は自身の事業に取り組み、残りの50%でフリーコンサル案件に関わる、という働き方も一般的になっています。
ただし起業側でのマネタイズが難しい場合、コンサル稼働が継続的に50%を超えるようになり、そのままフリーコンサル活動を中心にするケースも増えています。
ボリュームゾーンは30〜40代
戦略案件で特に求められる年齢層は、30代〜40代。
理由としては、手を動かせること、つまり実務力の高さが強く評価されるためです。
大手企業のクライアントであっても、戦略系のコンサルファームが案件を受け、その一員として参画するケースが少なくありません。その場合、「資料を作成できる」「現場でディスカッションができる」といった即戦力が重視されるため、アクティブに動ける30〜40代がアサインされやすいのです。
フリーコンサル戦略案件を獲得するための準備

ここまで読まれて、「自分も戦略案件をやってみたい」と感じた方に向けて、実際に案件を獲得するために準備すべきポイントを整理しておきます。
1. 職務経歴書(レジュメ)の整備
戦略案件に応募する際には、職務経歴書の内容が非常に重視されます。特に以下の点を明確に記載しましょう:
- 戦略系プロジェクトの具体的なテーマ(例:中期経営計画、PMI、新規事業立案)
- 担当フェーズ(企画、分析、資料作成、実行支援 など)
- クライアントの業界・規模感(特定企業名の記載は不要でも、規模や業種は書く)
- 参画時の役割(PM、リードコンサル、アナリストなど)
案件とのフィット感をアピールするには、形式的な肩書きよりも、どのような課題にどう関わり、どんな成果を出したかを端的に表現することが重要です。
2. 面談・ディスカッションへの備え
戦略案件では、書類だけでなく「面談でのディスカッション力」も重要です。
たとえば以下のような質問がされることがよくあります:
- 「これまでで最もチャレンジングだった戦略案件は?」
- 「仮に〇〇業界の新規事業を任されたとしたら、最初の打ち手は何を考えますか?」
- 「CFOや部長クラスと意見が食い違ったとき、どう進めますか?」
こうした問いに対し、構造的に、かつスピーディに答えられることが求められます。
案件選びの注意点とミスマッチ回避

一見すると魅力的な戦略案件でも、実際に参画してみると「想像と違った」というケースもあります。以下のような観点で事前に確認を行いましょう。
スコープが曖昧な案件
「戦略案件」とされていても、実際は業務設計が固まっておらず、実行支援や調整業務がメインになることもあります。
特に戦略性が高いと見せかけて実行PMO的な色が強いケースには注意が必要です。
チーム構成の確認
「1人で入って全部やる」パターンもあれば、「既存のコンサルチームに合流する」場合もあります。
1人アサインの場合、自身の提案がダイレクトに経営に響くやりがいがある一方で、プレッシャーや負荷も大きくなります。
一方、チーム合流型の場合は情報や役割の整理、スピード感が求められます。
戦略案件で成果を出すコンサルタントの特徴

実際に戦略案件で評価され、継続的に案件を受けているフリーコンサルタントには、共通点があります。
- 構造的に考える力:複雑な課題を整理し、筋道立てて説明できる
- 手を動かせる力:スライド作成、分析、調査を自分で実行できる
- 関係構築力:経営層や現場担当者と信頼関係を築き、話を引き出す力がある
- 抽象と具体の往復ができる:抽象度の高い戦略構想を、具体的な施策に落とし込む力
こうした力は、コンサルファームでの経験を経て身につけている人が多い一方で、事業会社で経営企画や事業戦略を実行してきた人にも備わっていることがあります。
最後に:フリー戦略コンサルとしてキャリアを築くために

戦略案件は、単価の面でも内容の面でも、非常にやりがいのあるプロジェクトが多く存在します。一方で、求められるレベルも高いため、準備や自己認識が不十分なまま参画すると、途中で案件から外れることも珍しくありません。
大切なのは、「自分が提供できる価値は何か」を常に把握し、それに合った案件を選ぶこと。そして案件を通じて、さらに強みを磨いていくことです。
フリーコンサルとしての自由度を活かしつつ、自分の専門性を最大限に発揮できる案件を見極め、長期的なキャリアにつなげていきましょう。